ニューポール81E2は、ニューポール12偵察機を非武装化し、複座練習機とした機体である。そしてこのニューポール12は、第一次大戦前にニューポール社がレーサー機として開発した、ニューポール10をベースとしている。下翼を上翼の半分ほどとした『一葉半』のスタイルが特徴であった。
日本では操縦技術教習用にフランスから購入した機体の一つであり、後に『甲式一型練習機』として1920年からライセンス生産を行っていた。
性能は申し分ないが、離陸滑走中の”首振り”や、操縦を誤るとグラウンド・ループに陥るというクセの強い機体であったともいう。
所沢にある航空機をメインにした博物館的施設です。名前の通りですね。
会式一号機のレプリカがエントランスに吊るされていたり、今回の記事のような機体があったり、戦後の航空工業再開の時期に作られた機体など、中々幅広い時代の機体が展示されています。
このページで扱うニューポール機は、上記の通り第一次大戦の頃に開発された機体で、国内では勿論唯一ではないものの、あまり見れる方ではないでしょう。
少し高めの所に綺麗な状態で展示されているのは、設計図や写真を元に再現されたレプリカ機。羽布張りの主翼と、太い各部の支柱が時代を感じさせますね。
高いところにあるお陰で下から見れるのはよいのですが、距離があるので細部が眺め辛いのが難点ですね。機首やコクピット周りなど、いろいろ見てみたいのですが……。
とはいえこの展示も悪い事ばかりではありません。上の側下方から2枚の様に、下翼が上翼より大分小さい、『一葉半』の翼形態が分かりやすいアングルで眺める事が出来ます。翼の構造も透けて見えますね。
正面からのイメージと異なり、コクピットより後ろはかなりほっそりとしている様子。尾部も小さめな感じがします。
レプリカ機の最後として、機首方向からの一枚を。
立派な木製プロペラとエンジン周りを下から眺める事が出来ます。尖端を覆うシャープな金属部がよい雰囲気。
エンジンはル・ローン9Cという80馬力の空冷星型エンジンを搭載。これはロータリーエンジンなので、エンジンはプロペラと一緒に回転する訳ですね。この機の近くで流されているフライアブルな機体の映像でそれを見る事が出来ます。ネットで調べてもすぐ見る事が出来ます。いい時代ですね。
ちなみにこのエンジン、日野自動車の展示施設である『日野オートプラザ』でも展示されていて、いろんな角度からじっくり眺める事が出来ます。
当時としてはポピュラーなエンジンの一つであることから、海外では今でも動くものがあり、一部はフライアブルな機体に搭載されているようです。
上記のレプリカ機の隣には、現存する実機の一部が置かれています。腐蝕により木製部は失われ、コクピット周りの金属製構造部やエンジンのみが残っている状態ではありますが、お陰で中の作りがよく分かります。整った状態のレプリカと見比べられる位置なのが良いですね。
この機体は民間飛行家の岩田正夫氏が郷土訪問飛行時に使用したもので、着陸時に破損したことから村に寄贈されたという経緯だそう。70年もの間村の慈光寺に保管された後、航空発祥記念館に収蔵されたとか。
この現存機の見どころの一つはここですね。劣化により破れたタイヤです。話として聞いたことはあっても、本当にゴムチューブでなく綿が詰まっていたんだなぁとなるので貴重な体験でした。
ニューポール 81E2についてはこれくらいで。
S.E.5の時もそうでしたが、第一次大戦の頃の子は何機か名前を知ってるくらいなので、何を書いてよいか分からなかったですね……興味はあるんですが、なかなか。日本の航空黎明期も同様。
落ち着いたころに参考にした本をじっくり読んでみようかと思います。
=参考=
■戦闘機大百科 -第一次大戦・戦間期編-, アルゴノート社, (2018):P.32
■日本軍用機辞典 1910~1945陸軍篇[新装版], 野原 茂, イカロス出版, (2018):P.26
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