少し前に『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON (以下ACVI)』の全ミッションを終えた。つまるところ全エンディングを見たということだ。このタイミングで自分にとっての本作品群との出会い、そして体験を書き残しておこうと思う。
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私はPlayStationで出た『ARMORED CORE (以下AC)』シリーズの大半をプレイしているが、すごい昔からのファンという訳ではない。
最初の出会いは中学生の頃、PS3で『METAL GEAR SOLID 4』の次にやるソフトを探していた時だった。中学で知り合ったゲーム好きの友人と話をしていたら、「こんなゲームがあるよ」と勧められたような気がする。CMかネットの情報かで、名前とビジュアルくらいはうっすら知っていたと思う。
メカモノは好きだったし、色々見て面白そうだなぁと思い購入した。それが『ARMORED CORE for Answer (ACfA)』で、ACシリーズとの最初の出会いだった。
ACとは関係ないが、初ACの『fA』を購入したTSUTAYA鶴川駅前店は2021年8月15日に閉店してしまったらしい。度々帰りに途中下車して通っていたので、少し寂しい。またACを薦めてくれた友人 (※ACプレイヤーではなかった) とは疎遠になり、今何をしているのか分からない。これも寂しい、彼は元気だろうか。
当時はそれほど熱狂的ではなかった気がするが、とはいえ「人生初のアニメ作品のゲームではないオリジナルメカアクション」に、それなりにはハマっていた。最初に買った『ACfA』は『AC4』という作品の続編であり、クリアしてしばらくした後にこちらも購入しプレイした。
もしかするとこちらの方が『AC4』より先だったかもしれないが……2009年には『AROMORED CORE 3 Portable』という、2002年にPS2で発売された『AC3』のPSP移植版が発売され、これもプレイした。『AC4』系列は高速なハイスピードアクションゲームだったのに対し、自由に飛び回れずだいぶ操作性も異なるものだったが、こちらもこちらで大いにハマったものだった。地下世界を舞台としたSF的な雰囲気と世界の管理システムの暴走、その真実に迫るストーリーは今でもトップクラスに好きな作品の一つだ。
その後も、『AC3』系列とそれに続いた『N系』と呼ばれるものの最後、PS2の最後の作品『ARMORED CORE LAST RAVEN』のPSP移植版も続けてプレイし、見事なAC好きに育った。どのタイミングだったかは思い出せないが、『AC2』系や『初代』系のうちの一つ『PROJECT PHANTASMA』も中古ショップで探し出してプレイしていった。
しかしある時、言わば挫折した時があった。それは2012年に発売された『ARMORED CORE V (Vはローマ数字の5)』であった。詳細は省くが……どうにも好みに合わなかった。またタイミングも悪く、PS3で遊べない環境に長期間置かれることもあり、『ACV』とその続編はクリアせず (後者は購入も出来ていない) になってしまった。前者については近いうちにまた再挑戦したいと思っている。
そして時折思い出したようにプレイはしたものの、『ACVI』発売までの空白の期間に突入したのである。
意外にも『AC』を再びプレイするようになったのは、『ACVI』の発表前だった。
2022年11月3日、Virtual Youtuber (以下Vtuber) の『周防パトラ』氏がAC実況を始めたのだ。
パトラ氏のことは前々から知ってはいた。Vtuberは2018年頃から色々と見始めているが、推しの一人と何度かコラボ配信等をしており、またそれ以外にも何本か配信アーカイブを見たりなどもしていた。
今でこそ色々なゲームをしているが、当時は『AC』シリーズをやるイメージなど欠片も無かったし、また彼女の実況やプレイにも興味があり見始めたのだった。
『AC (初代/無印)』の古く不親切めなデザインや独特な操作などに翻弄されつつも、回を重ねるごとにシステムの理解と操縦が上達していく様は見ていてなかなか面白いものだった。氏の独特な実況は雰囲気にミスマッチな感じも癖になる (褒めてる)。
見ていたら自分もやりたくなった。私は人がやっているのを見ると、ジャンルが合わないものでなければやりたくなってしまう性分なのだ。
PSで発売された『AC1』系は3作品あり、うち2作目はプレイ済み、3作目は購入したが未プレイ (無印からやりたかったのだ) だったので、急遽『AC (初代)』を購入しプレイをし始めた。
ケースは適当なのだし裏の紙もないのでちょっとゲンナリしてるが、自分はコレクターでもないしプレイできればいいか……初代3部揃ったぞ pic.twitter.com/50KXQl1Chq
— リーリヤスキー(Liliyasky) (@SWyattuke) November 5, 2022
このまま初代進めて、クリア後に隠しパーツ全部揃えたら二回目のPPをさらっとやって、そのままMoAに突入したいな
— リーリヤスキー(Liliyasky) (@SWyattuke) November 7, 2022
『AC (初代)』は1997年に発売されたにもかかわらず、今日までの『ARMORED CORE』シリーズの根幹にあるシステムをほぼ全て揃えている。それをここで体験出来てよかった。
クリア後は人生で2回目の『PROJECT PHANTASMA』に挑み始め、終わったら3作目の『MASTER OF ARENA』に挑もうと思っていた。
2022年12月9日─多くにとって突然に、それは起こった。
アーマード・コア最新作『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』を発表いたしました。発売は、2023年を予定しております。ご期待いただければ幸いです。 pic.twitter.com/5HYCvkAPHA
— FROMSOFTWARE (@fromsoftware_pr) December 9, 2022
『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』の発表である。最初は正直信じられなかったし、ツイート5度見くらいしてアカウント10回くらい確認した。
確かに、シリーズ生誕20周年記念のサウンドトラックBOXにはフロムソフトウェアからのメッセージがあった。とはいえこれだけの期間新作が無く (ACはほぼ1~2年に1作品新作が出ていたのでなおさら)、同社の他の作品が広く世に売れ知名度が上がった状況で、「果たしてあのマニア向けなイメージがある『ARMORED CORE』が出るのだろうか?」と思っていた。
しかしこのようなアナウンスメントトレーラーがお出しされたら、どうあれ受け止めるしかなかった。
その後はトレーラーを何度も見て、色々なことに注視した。(Tweet)
「何かよくわかんないけど見た目にAC3系みを感じる。質感やギミックはV系とかだけど、手足のバランスとか付き方、ミラージュ軽EOみたいなコアなせいか?私の頭がバグってるだけかもしれん」
「まぁでもとりあず各部位のパーツ構成が4系ともV系とも違うくて、私の頭では3系に近いと感じてるんだろうと思う」
最初に感じたのは機体がPS2作品の面影があることで、他にも色々なツイートをした。
🤔 ……? pic.twitter.com/FuYh8NjdFf
— リーリヤスキー(Liliyasky) (@SWyattuke) December 9, 2022
またロゴに見覚えを感じて、過去作品との比較もした。そして機体デザインや作品ロゴなどから、「PS3以前の作品に回帰した」もしくは「それらの要素・雰囲気を大いに取り入れた」作品なのではないか?と予想していた。プレイを終えた今なら分かるが、これは正解だったと思う。
ともあれ、公式トレーラーやVtuber (パトラ氏や葉山氏など)・とつへこずんだもん氏 (Ch) などの動画を見ながら、そして毎日ACのことを考えながら、発売の日まで待ち続けた。
発売の少し前には、いくつかのエピソードがあった。
一つは、水無月氏が立ち上げた『ACVI』のDiscordサーバーに参加したこと。
5月の頭の方に入り、それからちょいちょい書き込みなどして交流していた。『fA』などをやっていたころはRAVENWOODというファン交流兼攻略まとめサイトがあり、そこに入り浸っていたが……それと似た雰囲気を思い出した (当時そこに居た人たちもちらほらと見かけ、懐かしい気持ちになった)。色々なAC話、ACとは関係ない話などもして、発売までの間同じACプレイヤーたちとワイワイと出来たのはとても良い思い出になった。
次に、『ACVI』試遊会への参加。
発売前には各地の電気屋さんで『ACVI』の試遊会が開催され、色々な話題を生んだが、そのうちのヨドバシカメラ横浜店でのものに参加してきた。と言っても、試遊した訳ではなくて、午後からぶらりとプレイを見に行っただけなのだが。PVなどは全部見ているとはいえ、リアルタイムで動いている『ACVI』を見るのは初めてで、他人がプレイしているとはいえ中々に興奮したものだった。より期待が高まったし、モチベーションも同様だった。
それとは別に、他に試遊を見ている人たちの多さ、性別年代の幅広さにも驚いた。当時はもうSteam等のセールスランキングに常に乗り続けていて、結構な注目を集めていたらしいことは分かっていたが、実際にそれを生の人間で目にするとやはり驚きがあった。色々な人がパッケージを眺め、配布されていたパンフレットを手に取り、プレイを見守る。まさか『ARMORED CORE』がこれほど話題になるとは夢にも思っていなかった。
たまたま通りがかった小さな子供が母親に「あれかっこいい!」と言っていたのも、だいぶ心に残った場面だった。
最後に、過去作品をプレイしたこと。
頭の方で『fA』から色々な作品をプレイしていったことを書いたが、実はまだプレイしていないタイトルがいくつかあった。パトラ氏に影響されて購入しプレイした『AC (初代)』と『MoA』、PSPに移植されなかったPS2作品『NEXUS (NX)』『NINE BREAKER (NB)』だ。
全作品やるのは無理だろうと思った。なので、『ACVI』で「レイヴン」というワードが出ていたことから、主人公が『レイヴン』である作品だけでも終わらせようと決めた。まずは『初代』系を終わらせ、ウォーミングアップとしてPS2版の『LR』をやり、そして『NX』もプレイした。間が悪いことに、発売が近づいたころに仕事が忙しくなり、最後に残った『NB』がなかなか進められなくなった。最終的に『ACVI』の発売前日に10時間近くぶっ通しでやり続け、無事ラスボスに当たる敵を撃破してクリアとなった。今年で20代も終わりを迎えるが、まだそんなゲームをする体力があるのだと驚いた。
私がナインブレイカーだ
— リーリヤスキー(Liliyasky) (@SWyattuke) August 24, 2023
ACVIまでに全PSレイヴン系作品クリアしましたお疲れ様でした(今日だけで9時間以上やった) pic.twitter.com/KRgo49m8dW
【!】以降ACVIネタバレ注意【!】
そして8月25日の7時、Steam版のプレイ開始時間を迎えた。Steam版は最初にプリロードデータを解凍するステップがあるらしく、時間通りにはできなかった (先述のDiscordサーバーの人たちと少し騒いでいたりもした) が、少しして無事プレイすることができた。
10年ぶりの新作ということで、否応なしに期待が高まってしまっていた。しかし、個人としては少しプレイした頃から「期待以上のものが来た」と感じ始めていた。
直観的な操作性、美しいグラフィック、巨大な建造物─メガストラクチャーを擁す上下に広大なMAP、汎用MTなどを蹴散らしていく爽快感。今までのACの要素と、2023年だからこそ実現できる新たなビジュアルやシステムを兼ね備えた作品なのだと。
ヘリは事前に動画などを見ていた事もあり、難なく (APはギリギリだったが) 初見で突破できた。ストライダーも回避する場面でブレードを振ってアイボールに落とされたが、次には難なく撃破。デスルンバ スマートクリーナーもラスティ兄貴の脚を装備していたこともあり、すんなりと壁越えを果たした。
問題はチャプター1最後のボス、バルテウス……。ACをいくつもやってきたが、結構な苦戦を強いられた。ミサイルは引き付けてQBで前に出れば大体避けれたし、上下移動でもだいぶ処理できるのが次第に分かった。グレネードとショットガンの回避がEN管理の不慣れもありAPとリペアを削られ、トドメが近接攻撃だった。
最終的にパターンをある程度理解し、アセンを変えてパルスガンや8連垂直ミサイルを装備することで突破出来た。1時間半は掛かった難敵だった。1周目のボスとして戦ったエアもだいぶ苦戦したが、全てのボスを含めても、一番時間が掛かったボスとなった。
進めていくと次第に過去作にあったようなミッションがいくつも出てきて、ファンとしてはニヤリとさせられる場面が多くあった。PS3作品以降は減ってしまった探索や護衛、ステルスまであるとは思わず、一部PS2作品を思わせるパーツデザインや『レイヴン』の名を使うだけはあると唸った。雰囲気も往年の作品を感じさせるところが多々あった。「どの作品のあのミッションっぽさがあるな」などと思いながら進めていた (もちろん新しいと思うものもあった)。同じくPS3作品以降で消えてしまったパーツ─イクシードオービット (今作ではドローンだが) やコンテナミサイルなど結構なカテゴリが復活したのも嬉しいところだった。
発売前のインタビュー記事等でも言われていたが、過去作品のオマージュが多くちりばめられていた。セリフとして分かりやすいのは、発売直前に公開されたロンチトレーラーにあった「今度こそ消しておく必要がある システムはそう判断した」は、『AC3』でファンファーレが言う「イレギュラー要素は抹消する ミラージュはそう判断した」からだろう。
3周目に行くことができるルートの最後は、怒涛の勢いでそれが浴びせられた。最後の最後まで温存されていた作品の象徴的なワードたる『イレギュラー』やそれにまつわるオマージュセリフは、ストーリーのクライマックスな事もあり、私の情緒は乱れに乱れたと書き残しておこう。
全て書ききることはできないが、このように本作品は過去のAC作品の要素を選んで抜き出し、操作性からビジュアル、ミッション、キャラクター設定やセリフに至るまでに取り入れていた。そしてまた、ACシリーズの空白の10年 (開発時期としては9年か?) の間に、他シリーズで培った経験やシステムも取り入れられていたのも確かだ。
ブースター炎やEN属性・コーラル等のエフェクト、戦闘に関わるシステム、世界観やキャラクター等の設定周り組み立て、そしてなによりストーリーと場面の盛り上げ方が段違いに向上していると感じた。ムービーの演出もより動きやカメラワークも巧みなものになっている。ACといえば急な敵増援によりドキッとする場面が多い。それが高い品質のムービーで行われるとなれば、それは……もう……。
数少ない味方の増援・合流シーンは、どの場面も作品で上位に好きなシーンとなった。ラスティ、カーラ、そして最後のエア。最高に気分が高揚し、「やってやるぞ!」という気持ちに溢れた。そう思わせたのはただ「増援が来る」というだけではないだろう。上記の様な10年の間に培ったものが大いに活かされていると感じられた。
まとめれば、過去作の全てと空白の10年─これらの結晶が、『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』なのだと私は思った。
何より嬉しかったのは、小倉氏がインタビュー・イベント等各方面で言っていた通り、「ACシリーズの根幹」にあるものを忘れないでいたことだ。多様なパーツ群からなるアセンブルと自由なプレイスタイル、作りが平坦でない多彩なミッション、ビジュアルが無いながらも個性的な登場人物たち。
紛れもない2023年の『ARMORED CORE』を作ってくれたこと、とても嬉しく思う。
どれが一番だと選ぶのは過去作の中からでも難しいが、今作もそれらと並ぶ好きな作品となったのは確かだ。人生のなかでやってよかったゲームの一つともなった。
クリアこそしたが、まだまだパーツも収集要素も集めきれていない。対戦なども身内で少しやった程度だ。新たなレイヴン生活をまだまだ長く楽しんでいこう。
文中外部リンクまとめ:
レンタルショップ「TSUTAYA鶴川駅前店」閉店へ。18年の歴史に幕|変わりゆく町田の街並み
https://kawariyuku-machida.com/article/41716.html
シリーズラインナップ|ARMORED CORE VI (公式)
https://www.armoredcore.net/lineup.html
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