記事種:ソ連機のシリアル規則解読


更新履歴 (内容に変化ないものは除く)

[2024/01/06] 第21工場:規則説明を分割しつつ主にI-16に関して更新。
[2024/01/05] シリアル規則のフォーマットを更新 (テーブル化)。
[2022/11/27] 全体的に単語を統一。
[2022/11/18] 第153工場のシリアル規則を更新、サブタイプについてを追加。
[2022/04/03] 第21工場:I-16 tip一覧を更新、文章も少し更新。
[2022/03/25] 第153工場:Yak-7B/Vのシリアルを追加、第31工場:概要を更新、その他全体的に読みやすいよう書き換え。
[2021/12/15] 第21工場の概要や説明文、シリアルサンプルの情報を少し追加、微妙に修正。
[2021/08/31] 第381工場を追加, その他書式を統一, サンプルを追加等
[2021/08/30] 第292工場更新:3桁バッチのサンプルと説明を追加, 第21工場更新:tip31がLaGG-3と確定

[2020/10/28] 第21工場を更新 (I-16のシリアルについて)
[2020/06/18] 第99工場を追加, 第31工場を追記 (Yak-17のサンプル等)
[2020/06/04] 第18・21工場の文章を一部追加・変更
[2020/04/12] 記事公開

1機に1つずつもらえるもの、それはシリアルナンバー (製造番号, 以下シリアルと略す)。どうやら工場ごと、機体ごとに色々とあるらしいので、思い出した頃に少しずつ調べているんですね。それを分かった範囲で書いていっているのがこのページになります。

 

つかいみち:

  • 書籍等に書かれているシリアルから生産工場やバッチを特定する (バッチからおおよその生産時期も分かるかもしれない)。
  • 模型でリアリティのあるシリアルを書き込む。
  • その他創作物などでシリアルを設定してリアリティを高める。 など

シリアルナンバーがソ連機とどうかかわりがあるのか?も書いたので、「シリアルとか言われても何も分からん」という方にはどうぞ。

本記事は工場ごとにシリアル規則をまとめています。機体ごとに抜粋したページも作成していますので、目当ての機体などがある際にはこちらを参照ください。

機体ごとシリアル規則まとめ

では本題に入りましょう。

初っ端から驚きな話になるんですが、どうやらソ連機のシリアルは工場ごとに規則が違うらしいなんて面倒な。

まぁ他の国がどうなのか私は皆目として知らないので、実は同じようなものかもしれないのですけど。軽く調べたところ、他国は発注時に順に割り当ててるだけとかが多いようですね。

 

という訳で、工場ごとにルールやシリアルのサンプルを羅列していくので、「ふーん」って感じで見ていって下さい。

途中に出てくる『バッチ』や『Series』については、『LaGG-3とSeriesのカンケイ』で説明しているので、興味があればそちらを参照。

[工場一覧]

◆第18工場 (ヴォロネジ/クイビシェフ)

第21工場 (ゴーリキー)

第31工場 (トビリシ)

第99工場 (ウラン・ウデ)

第153工場 (ノボシビルスク)

第166工場 (オムスク)

第292工場 (サラトフ)

第301工場 (ヒムキ)

第381工場 (ニジニー・タギル)

 

[準備中]

◇第39工場 (モスクワ)

◇第82工場

(長くなってきたのでリンク形式のもくじ作ろうかなぁと考えている)


★第18工場

【工場概要】

1930年1月10 日、ヴォロネジに設立された航空機生産工場。TB-3やDB-3といった機体を生産した後、1939年からはIl-2の生産を開始した。Il-2の主生産工場の一つであり、一時は日産10機を超えるほどであった。

工場は1941年11月にクイビシェフへ疎開したが、その後も同機の生産を続け、最終的には生産工場の中で最多となる1万5千機を送り出している。1944年からはその後継機であるIl-10の生産も行った。

【シリアル規則】

[FFMPPBB]  [FF, M, PP, BB]
FF

工場番号 - 18 (固定)

M モデル - 7:Il-2
PP バッチ中の生産番号 (0埋め)
BB 生産バッチ

後述の他の工場と比べると、シリアルの中に情報が比較的多い。

参考とした記事では上記Mの箇所は「Model」としか書かれていなかったので、詳細はよくわからないが、恐らくはこれまでに生産していた機体の通し番号なのではないだろうかと予想される。 

Il-2以前の機体や、Il-10のシリアルを入手して調査してみたいところだ。

 

【サンプル】

[1870930][18, 7, 09, 30]

第18工場製, モデル No.7(=Il-2), 9番目の生産機, 第30バッチ

[1871196][18, 7, 11, 96]

第18工場製, モデル No.7(=Il-2), 11番目の生産機, 第96バッチ 


★第21工場

【工場概要】

30年代初めにゴーリキー (現:ニジニ・ノヴゴロド) に建てられた工場。大祖国戦争の前は、ポリカルポフのI-5やハリコフ航空研究所のKhAI-1 (露:ХАИ-1) を生産したのち、I-16の主生産工場の一つとなった。

1940年11 月に第21設計局 (OKB-21) が設立され、S. A. ラヴォチキンが設計局長に任命されると工場ではLaGG-3の生産が開始された。

一時はYak-7の生産ラインを併設することが決定されるも、OKB-21が開発した空冷型LaGG─後のLa-5の試験結果が優れていたため取りやめとなった。その後、戦中はLa-5とLa-7、戦後も1951年までLa-9とLa-11を生産し続けた。

【シリアル規則①】I-16

[TTFFBPPP]  [TT, FF, B, PPP]
TT

航空機タイプ (0埋め無し)

 -tip1:I-5

 -tip2:I-14

 -tip3:KhAI-1

 -tip4~29:I-16の各Type (tip) と対応

FF 工場番号 - 21 (固定)
B

生産バッチ

ただし最初の生産バッチでは付かない

またバッチは0から始まり、次はА, Б (B), В (V)..と続く

PPP

バッチ中の生産番号 (0埋め無し)

tip5・10等では最大999まで

tip18・24以降は1バッチ最大100まで

なおtip2が割り当てられたI-14は当工場が生産場所に指定されたものの、結局別の場所に変更になったため生産はしていない。

◆サンプル・・・I-16

[5210953]⇒[5, 21, 0, 953]

5(=I-16 tip5), 第21工場製, 第0バッチ (2番目のバッチ), 953番目の生産機

[102175]⇒[10, 21, 7, 5]

10(=I-16 tip10), 第21工場製, 75番目の生産機 (バッチ無し)
[2421И19]
⇒[24, 21, И(I), 19]

24(=I-16 tip24), 第21工場製, Iバッチ, 19番目の生産機

[2821з95]⇒[28, 21, з(Z), 95]

28(=I-16 tip28), 第21工場製, Zバッチ, 95番目の生産機 (現存するサフォーノフ機のもの)

(クリックで拡大)
(クリックで拡大)

この項で重要なところは、先頭にある[TT:航空機タイプ]と記載した箇所だ。上のサンプルを見ての通り、先頭はI-16のtip (Type) と同じものとなっている。例えば、I-16のtip10であれば'10'がシリアルの先頭に付くし、tip24なら'24'になり、他も同様だ。

一つ注意が必要なのは、このtipは元々I-16の型を示すものではなかったということだ。I-16の最初にあたる'tip4'というものは、『第21工場で4番目に生産された航空機』であることから付けられたものだった。その後理由は不明だが、改良型や派生が生まれるに従って、それに連なる数字が付けられていった。

左 (上)のリストはI-16の各tipを一覧としたものだ。これらのtip番号は、第21工場以外のI-16生産工場でも使われていた。tip関連の詳しい話はI-16とtipのカンケイを参照のこと。

【シリアル規則②】LaGG-3/Laシリーズ

[TTFFBBPP]  [TT, FF, BB, PP]
TT

航空機タイプ

 -tip31:LaGG-3

 -tip37:La-5~La-5F (Series 8まで:一体型風防)
 -tip39:La-5F (Series 9以降:突出型風防)~La-5FN (木製桁)
 -tip41:La-5FN (金属桁)

 -tip43:La-5UTI (練習機型)

 -tip45:La-7

 -tip46:La-7UTI (練習機型)

 -tip49:La-9

 -tip51:La-11

その後はtip52:La-15, tip53:MiG-15bisが割り振られている

FF 工場番号 - 21 (固定)
BB

生産バッチ

LaGGでは一桁の時0がつかない (0埋めなし)、6~7桁になる

PP バッチ中の生産番号
こちらもLaGGでは0埋めがない、最短で6桁になる

[BB:バッチ]の箇所は、LaGGのシリーズ番号と同じものである (バッチをSeries XXと呼んでいるに過ぎない)。詳細は記事:LaGG-3とSeriesのカンケイを参照。

[TT:航空機タイプ]は、I-16の最終生産型 (tip29) から1つ空けて31が使われている。tip30にはパシーニンの試作戦闘機I-21が割り当てられていたとする資料があり、その他の飛んでいる番号にも似たような話がある。こちらについては記事:I-16とtipのカンケイを参照。

◆サンプル・・・LaGG-3

[3121321]⇒[31, 21, 3, 21]

31(=LaGG-3), 第21工場製, 第3バッチ, 21番目の生産機

[3121565]⇒[31, 21, 5, 65]

31(=LaGG-3), 第21工場製, 第5バッチ, 65番目の生産機

 

◆サンプル - La-5以降

[37210853]⇒[37, 21, 08, 53]

37(=La-5), 第21工場製, 第8バッチの53番目の生産機

[39210101]⇒[39, 21, 01, 01]

39(=La-5FN), 第21工場製, 第1バッチの1番目の生産機

[39212117]⇒[39, 21, 21, 17]

39(=La-5FN), 第21工場製, 第21バッチの17番目の生産機

[45210127]⇒[45, 21, 01, 27]

45(=La-7), 第21工場製, 第1バッチの27番目の生産機 (現存するコジェドゥーブ機のもの)

[46210117]⇒[46, 21, 01, 17]

46(=La-7UTI), 第21工場製, 第1バッチの17番目の生産機

 

La-5以降のシリアルも、基本ルールはLaGG-3と変わらない。一つ違うのは、バッチや生産番号が一桁の時は、十の位を0で埋めていることだ。以降も0埋めによりシリアルは8桁が維持されている。


★第31工場

【工場概要】

タガンログにあった工場。アゾフ海に面する場所であったためか、ベリエフ KOR-1 (Be-2) やチェトベリコフ MDR-6などの国産水上機のほか、カタリナ飛行艇のライセンス生産版であるアムトーグ GSTも生産していた。

1940年にLaGG-3の生産工場に指定され、ジュラルミンを多用する金属製水上機の生産から一転、全木製戦闘機の生産をすることとなった。LaGG-3の共同設計者の一人であるゴルブノフ監督のもと作業が始められ、1941年3月には最初の生産機を送り出している。

ドイツ軍が迫りつつあった1941年には、 8月から9月にかけて設備と人員をトビリシに避難し、引き続きLaGGの生産を行った。またごく少数ながらLa-5も生産している。ゴルブノフが設計したLaGG-3の軽量化派生機I-105の開発も行われていた。

1944年にLaGG-3の生産を終えると、以降は生産ラインがYak-3に切り替えられた。戦後も同機をベースとして開発されたジェット戦闘機、Yak-15, Yak-17の生産を行っている。

【シリアル規則①】

LaGG-3:戦前から少なくとも41年までは確認

[BBFFPP]  [BB, FF, PP]
BB

生産バッチ

FF 工場番号 - 31 (固定)
PP バッチ中の生産番号

 

◆サンプル - LaGG-3

[213191]⇒[21, 31, 91]

(LaGG-3) 第21バッチ, 第31工場製, 91番目の生産機

[273130]⇒[27, 31, 30]

(LaGG-3) 第27バッチ, 第31工場製, 30番目の生産機

【シリアル規則②】

Yak-3, Yak-15, Yak-17 (時期不明、少なくとも44年以降)

[FFBBPP] → [FF, BB, PP]
FF

工場番号 - 31 (固定)

BB 生産バッチ
PP バッチ中の生産番号

 

◆サンプル - Yak-3, Yak-15, Yak-17

[310111]⇒[31, 01, 11]

(Yak-3) 第31工場製, 第01バッチの11番目の生産機 (短縮系:s/n 0111)

[317003]⇒[31, 70, 03]

(Yak-3) 第31工場製, 第70バッチの3番目の生産機 (VK-107A搭載金属翼の1号機)

[311125]⇒[31, 11, 25]

(Yak-17) 第31工場製, 第11バッチの25番目の生産機 (現存機のうちの1機に刻まれていたシリアル) 

【Note】

入手できたシリアルは、LaGG-3とYak-3で並びが異なっている。41年から44年の間のどこかで切り替わったのか、Yak-3の生産と共に切り替わったのかは不明。44年に生産されたLaGG-3 Series 66のシリアルが手に入れば判明するであろう。


★第99工場

【工場概要】

元々はウラン・ウデ (シベリアのバイカル湖近くの町) に航空機修理工場として設立された施設で、SBやI-16の修理を行っていたらしい。その後Pe-2の部品を生産していた (?)。

1943年からラヴォチキンのLa-5の生産を開始。続いて1944~46年にかけてはLa-7を、その後もLa-9・La-9UTIを生産した。

 

【シリアル規則】

[TTFFBBPP] → [TT, FF, BB, PP]
TT

航空機タイプ

 - tip 45:La-7
 - tip 49:La-9UTI

第21工場のタイプ分けと一致しており、同じ数字を使っていると思われる

FF 工場番号 (固定:99)
BB 生産番号
PP バッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[45992104]⇒[45, 99, 21, 04]

45(=La-7), 第99工場製, 第21バッチ, 04番目の生産機

[45992501]⇒[45, 99, 25, 01]

45(=La-7), 第99工場製, 第25バッチ, 01番目の生産機

[49990609]⇒[49, 99, 06, 09]

49(=La-9UTI), 第99工場製, 第06バッチ, 09番目の生産機


★第153工場

【工場概要】

1931年にノボシビルスク郊外に設立された工場。当初は別の工場であり、1936年に航空機工場として改められた。

1937年に工場で最初の航空機であるI-16を送り出し、1940年に入るとヤコヴレフ設計局のYak-7, Yak-9, Yak-3らの戦闘機を計3万6千機生産した。これは戦中生産されたヤコヴレフ戦闘機の約1/3にあたる。

疎開した第43, 23, 388, 115, 301工場らの設備を吸収した第153工場は、戦前の数倍の生産能力を備えており、一時は一日で30機前後の機体を生産していたほどであった。

 

【シリアル規則】

[SBBFFFPP] → [S, BB, FFF, PP]
S

サブタイプ (戦後型のみ?)

BB 生産バッチ
FFF 工場番号 (固定:153)
PP バッチ中の生産番号

Yak-9Pでは頭にサブタイプを示すP (露:П) が付く。導入がいつからかは不明、恐らく戦後のP型からと思われる。

 

【サンプル】

[4115301]⇒[41, 153, 01]

(Yak-7B) 第41バッチ, 第153工場製, 01番目の生産機

[0215366]⇒[02, 153, 66]

(Yak-7V) 第02バッチ, 第153工場製, 66番目の生産機

[0115310]⇒[01, 153, 10]

(Yak-9) 第01バッチ, 第153工場製, 10番目の生産機 

[П0115302]⇒[П01, 153, 02]

(Yak-9P) P型, 第01バッチ, 第153工場製, 02番目の生産機

[П0715340]⇒[П07, 153, 40]

(Yak-9P) P型, 第07バッチ, 第153工場製, 40番目の生産機


★第166工場

【工場概要】

オムスクの航空機工場。元々はツポレフのTu-2を生産していたが、航空機生産の方針が戦闘機増産にシフトしたため、ラインがヤコヴレフ Yak-9に切り替えられた。長距離型のYak-9Dや、これをベースとした偵察機型 Yak-9R (R型を生産したのは第166工場のみ)、VK-107Aを搭載した後期型 Yak-9Uなどを生産した。

 

【シリアル規則】

[BBFFFPPP] → [BB, FFF, PPP]
BB

生産バッチ

FFF 工場番号 (固定:166)
PPP バッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[40166074]⇒[52, 166, 082]

(Yak-9U) 第40バッチ, 第166工場製, 74番目の生産機

[52166082]⇒[52, 166, 082] (短縮系:c/n 52-082)

(Yak-9P) 第52バッチ, 第166工場製, 82番目の生産機 (全金属製Yak-9の試作機-1946年製)


★第292工場

【工場概要】

サラトフに設立された工場で、37年まではコンバインを主とした農業機械を生産していたという。その後は航空機工場に転身。1938年よりネーマンのR-10を生産、40年からはヤコヴレフ設計局の機体を生産することが決定された。ヤコヴレフ戦闘機の主生産工場の一つであり、40年から44年にかけてはYak-1を8,500機、44年からはYak-3にラインを切り替え3,600機を生産した。

 

【シリアル規則】

[PPBB] → [PP, BB]
PP

バッチ中の生産番号

BB 生産バッチ (後にBBB)

Yakの初期生産バッチにはこの4桁が割り当てられていたとのこと。その後どう変化したのかは調査中。変わってないかもしれない。後述の第301工場とは[生産番号]と[バッチ]の並びが逆なのがややこしい。

サンプルに書いた通り、後にバッチが100に達し5桁となったようだ。 

 

【サンプル】

[3855]⇒[38, 55]

(Yak-1) 38番目の生産機, 第55バッチ

[0868]⇒[06, 68]

(Yak-1) 06番目の生産機, 第68バッチ

[23109]⇒[23, 109]

(Yak-1) 23番目の生産機, 第109バッチ (リディア・リトヴァクのYak-1b 白の23のもの)

[48184]⇒[48, 184]

(Yak-1) 48番目の生産機, 第184バッチ (ポーランド空軍のYak-1b 白の48)

[1712]⇒[17, 12]

(Yak-3) 17番目の生産機, 第12バッチ (ちなみに現存機の一つ)


★第301工場

【工場概要】

モスクワ郊外のヒムキにあった工場。もともとは家具工場であったが、1939年にラヴォチキン, ゴルブノフ, グドコフらによる共同設計局OKB-301が設立され、後のLaGG-3となるI-301の開発が行われた。なお本工場でLaGG-3の生産が行われることなく、パーツのみ生産していたという。

1941年よりYak-7UTIを生産していたが、戦闘機増産が決定されたことで戦闘機型への転換を提案、開発と生産が行われた。この戦闘機型は、工場が疎開するまでの間に約50機程生産された。

疎開後は第153工場に吸収された。

 

【シリアル規則】

[BBPP] → [BB, PP]
BB

生産バッチ (後にBB)

PP

バッチ中の生産番号

Yakの初期生産バッチにはこの4桁が割り当てられていたとのこと。早々にYak-1の生産を終了したため、バッチ数はそれほど進まぬままで、そこがサラトフ製 (第292工場) との見分けポイントになる。

 

【サンプル】

[0218]⇒[0218]

(Yak-1) 第02バッチ, 18番目の生産機

[0406]⇒[0406]

(Yak-1) 第04バッチ, 06番目の生産機


★第381工場

【工場概要】

元は1939年にレニングラードに設立された工場で、1941年の初めにIl-2の生産工場と指定されたうちの一つだった。ドイツ侵攻により、27機を生産したところでニジニー・タギルへと避難。この時、同じくレニングラードにあり、Il-2の生産工場ともなっていた第380工場を統合している。

1942年に戦闘機増産へと方針転換をしたため、Il-2は僅か270機 (41年:27機, 42年:243機) を生産したところで終了 (第166工場のTu-2と同様)。生産ラインはラヴォチキン La-5Fへ切り替えられた。

一時は空冷型であるIl-2 M-82IRの生産が指示されていたが、これは結局取りやめとなっている (なお1機だけ完成している)。

1943年になると、モスクワの旧第39工場の敷地に移動。引き続きラヴォチキン戦闘機を生産し続けた。

大祖国戦争後は、試作ジェット戦闘機 La-150や混合動力戦闘機 I-250 (詳細⇒VRDK記事) を生産。最後は40年代の終わりにMiG-15を75機生産したのち、第30工場に統合された。 

【シリアル規則① Il-2, I-250など】

[FFFBBPP] → [FFF, BB, PP]
FFF

工場番号 (固定:381)

BB 生産バッチ (Il-2の時は一桁)
PP バッチ中の生産番号

 

◆サンプル - Il-2, I-250など

[381355]⇒[381, 3, 55]

(Il-2) 第381工場製, 第3バッチ, 55番目の生産機

[381417]⇒[381, 4, 17]

(Il-2) 第381工場製, 第4バッチ, 17番目の生産機 (復元されモニュメントとされている機体)

[3810102]⇒[381, 01, 02]

(I-250) 第381工場製, 第01バッチ, 02番目の生産機 (I-250 量産2号機)

【シリアル② La-5, La-7】

[FFFPPBB] → [FFF, PP, BB]
FFF

工場番号 (固定:381)

PP バッチ中の生産番号
BB 生産バッチ

 

◆サンプル - La-5, La-7

[3810311]⇒[381, 03, 11]

(La-5F) 第381工場製, 03番目の生産機, 第11バッチ

[38109659]⇒[381, 096, 59]

(La-7) 第381工場製, 096番目の生産機, 第59バッチ

[38102663]⇒[381, 026, 63]

(La-7) 第381工場製, 026番目の生産機, 第63バッチ

【Note】

理由は不明だが、LaシリーズのシリアルはIl-2らと異なる規則となっている。(生産順は、Il-2, La-5, La-7, I-250である) La-7の後に作られたI-250のシリアルが、その前に作られていたIl-2と同じ並びだ。後述するように、他のLa生産工場と規則を合わせたということでもないようなので、非常に不可解である。

 

Laのシリアル規則については、生産バッチをLa-5とLa-7で連続した数字を用いているようだ。これも他とは異なる点である。

またLaシリーズを生産した第21・99工場は同じシリアル規則を用いている (第99工場を参照) のに対し、それらとも異なるものである。

La-7では生産番号が3桁0埋めとなっているのも気になる。この部分が100以降の数字となっているものは、2021年8月時点で見つけられていない。


メモ: * は入力必須項目です



<参考リスト>

=共通資料=

世界の傑作機 No.138 WWII ヤコヴレフ戦闘機, 文林堂,(2010)

P.30, 31 工場別生産数リスト、モデル別生産機数リスト

 

=工場別資料=

【第18工場】

◆Авиакор (露:Aviakor)

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%90%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D0%BA%D0%BE%D1%80

■『Fly Past誌』, December 2018号:P.24

■『世界の傑作機 No.129 Il-2 シュツルモヴィク』, 文林堂, (2008):P.26

【第21工場】

◆Сокол (авиастроительный завод) (露:Sokol)

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A1%D0%BE%D0%BA%D0%BE%D0%BB_(%D0%B0%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D1%81%D1%82%D1%80%D0%BE%D0%B8%D1%82%D0%B5%D0%BB%D1%8C%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B7%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B4)

■『世界の傑作機 No.143 ラヴォチキン戦闘機』, 文林堂, (2011):P.14-15, 17
◆I-16のシリアル投稿があるフォーラム (露)
http://forums.airforce.ru/do-1945/7265-zavodskie-nomera-i-16-a/

【第31工場】

◆Pre-war LaGG-3s

https://massimotessitori.altervista.org/sovietwarplanes/pages/lagg3/prewar/prewar.htm

◆Вклад таганрогского авиационного завода № 31 имени Г. Димитрова и завода № 86 НКАП в Победу в Великой Отечественной войне 1941-1945 гг. (露)

https://taganrog-avia.ru/aircraft/TAVIA/1941-45_TAVIA.html

■『第二次大戦イタリア・フランス・ソ連軍用機』, 文林堂, (2000):P.144

*Yak-3のシリアル

■『Yakovlev Fighters of World War II』, Hikoki Publications, (2015):P.224, 228, 246

*Yak-17のシリアル

◆AVIARESTORER|Як-17

https://aviarestorer.ru/threads/jak-17.330/page-4

【第99工場】

◆Улан-Удэнский авиационный завод (露:ウラン・ウデ航空機工場)

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A3%D0%BB%D0%B0%D0%BD-%D0%A3%D0%B4%D1%8D%D0%BD%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9_%D0%B0%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D1%86%D0%B8%D0%BE%D0%BD%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B7%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B4
*La-9UTIのシリアル

■『Encyclopaedia of Soviet Fighters』:p. 189

【第153工場】

◆Новосибирский авиационный завод имени В. П. Чкалова (露:V.P. Chkalov名称ノボシビルスク航空機工場)

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9D%D0%BE%D0%B2%D0%BE%D1%81%D0%B8%D0%B1%D0%B8%D1%80%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9_%D0%B0%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D1%86%D0%B8%D0%BE%D0%BD%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B7%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B4_%D0%B8%D0%BC%D0%B5%D0%BD%D0%B8_%D0%92._%D0%9F._%D0%A7%D0%BA%D0%B0%D0%BB%D0%BE%D0%B2%D0%B0

◆НАПО им В. Чкалова (露:チカロフ名称NAPO)

http://m-nsk.ru/portfolio-item/napo-im-v-chkalova

*Yak-7シリアル

■『Yakovlev Fighters of World War II』, Hikoki Publications, (2015):P.110(Yak-7B 4115301), P.93 (Yak-7V 0215366)

【第166工場】

*Yak-9のシリアル
■『Yakovlev Fighters of World War II』, Hikoki Publications, (2015):P.199 (Yak-9P 52166082)

【第292工場】 

◆Саратовский авиационный завод (露:サラトフ航空工場) - Wikipedia

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A1%D0%B0%D1%80%D0%B0%D1%82%D0%BE%D0%B2%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9_%D0%B0%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D1%86%D0%B8%D0%BE%D0%BD%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B7%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B4

*Yak-1のシリアル

https://warspot.ru/8472-pobedy-i-porazheniya-lidii-litvyak

■『Polish Wings 20 Yakovlev Yak-1, Yak-3, Yak-7, Yak-9』(2015):P.16

【第301工場】

◆Химкинский авиазавод №301 (露:ヒムキ第301航空機工場)

https://khimki.livejournal.com/218233.html

【第381工場】

◆Завод № 381 НКАП

http://www.tagillib.ru/our_city/pop_tagilovedenie/ural-kuznitsa-pobedy/?SECTION_ID=&ELEMENT_ID=30917

◆Завод №381

https://testpilot.ru/az_map/avia/zavod-381/

■『Il-2 Shturmovik: Red Avenger』, Fonthill Media. Kindle 版

■『Lavochkin Fighters of the Second World War』, Fonthill Media. Kindle 版

■『La-5/7 vs Fw 190 (Duel)』, Medved, Aleksander, Bloomsbury Publishing. Kindle 版

■『世界の傑作機 No.129 Il-2 シュツルモヴィク』, 文林堂, (2008):P.26, 27-28


※以下準備中

★第82工場

【工場概要】

1942年5月から44年7月までの長期にわたり、Yak-7Bを生産し続けていた。44年2月からはYak-7と並行してYak-9Uの生産も開始している。

 

【シリアル】

[FFBBPP]  [FF, BB, PP]

FF:工場番号 (固定:82)

BB:生産バッチ

PPバッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[820307]⇒[82, 03, 07]

(Yak-7B) 第82工場製, 第03バッチ, 07番目の生産機

[821410]⇒[82, 14, 10]

(Yak-7B) 第82工場製, 第14バッチ, 10番目の生産機 (R型の試験機)

 

Yak-9Uについては、以下の様な短縮形表記しか得られていないが、規則的には変わりない筈だ。

[06-16]:第06バッチ, 16番目の生産機

【第82工場】

https://sandreyo.livejournal.com/119716.html
https://testpilot.ru/az_map/avia/zavod-82/

■『Yakovlev Aircraft since 1924』Bill Gunston, Yefim Gordon, putnam aeronautical books, (1997):P.73

*Yak-7Bのシリアル
■『Yakovlev Fighters of World War II』, Hikoki Publications, (2015):P.99, 114

*Yak-9Uのシリアル

■『Yakovlev Fighters of World War II』, Hikoki Publications, (2015):194


★第XX工場

【工場概要】

 

【シリアル】

[BBFFFPPP]  [BB, FFF, PPP]

BB:生産バッチ

FFF:工場番号 (固定:XXX)

PPPバッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[]⇒[]

XXXXXXX

※以下準備中※


以下準備中コンテンツ

★第39工場

【工場概要】

 モスクワ。I-5, I-15, I-16らポリカルポフの戦闘機、DI-6複座戦闘機、イリューシンのDB-3、ペトリャコフのPe-2とPe-3を生産。1941年10月にイルクーツクへ避難した。

 

【シリアル】

[FFBBPP]  [ FF, BB, PP]

FF:工場番号 (固定:39)

BB:生産バッチ

PPバッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[391606]⇒[39, 16, 06]

(Pe-2) 第39工場製、第16シリーズ、06番目の生産機

https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%9C%D0%BE%D1%81%D0%BA%D0%BE%D0%B2%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B9_%D0%B0%D0%B2%D0%B8%D0%B0%D1%86%D0%B8%D0%BE%D0%BD%D0%BD%D1%8B%D0%B9_%D0%B7%D0%B0%D0%B2%D0%BE%D0%B4_%E2%84%96_39


★第458工場

【工場概要】

 。

 

【シリアル】

[FFBBPP]  [ FF, BB, PP]

TTタイプ

FF:工場番号 (固定:458)

BB:生産バッチ

PPバッチ中の生産番号

 

【サンプル】

[15458XXX]⇒[15, 458, XXX]

tip 15(=UTI-4)、第458工場製、第XXシリーズ、XX番目の生産機


★第600工場

【工場概要】

 。

 

【シリアル】

[FFBBPP]  [ FF, BB, PP]

 

TTタイプ

FF:工場番号 (固定:600)

PP通しの生産番号

 

【サンプル】

[15458XXX]⇒[15, 458, XXX]

tip 15(=UTI-4)、第600工場製、XX番目の生産機