更新履歴 (内容に変化ないものは除く)
さて今回の記事は……まぁ、タイトル通りです。
注目する人が居るんだろうと言うテーマで、内容も大したものではありませんが、メモがてら置いておきます。 (fc2時代の冒頭文コピペ)
ガンカメラとは、火器類のトリガーと連動して動作する、軍用機搭載の映像撮影機材のことだ。第一次世界大戦にて登場し、第二次世界大戦においては各国で広く使用されるようになった。国や時代によって使用割合はまちまちだが、主に実弾を用いない訓練においての撃墜・撃破判定や、実戦における攻撃成果の確認の為に使用された。元々の使用用途としては前者のためだったが、第二次世界大戦では後者の用途にも拡大して使用されている。
YouTubeなどの動画サイトで検索欄に「gun camera ww2」とでも入力すれば、米英独の機体に搭載された大戦中のガンカメラの映像がいくつも閲覧出来るだろう。 (あ、調べるのは記事を読んでからお願いします……)
ソ連においては、30年代に『PAU-22 (露:ПАУ-22)』というガンカメラ (фотопулеметと書くのかしら) が生産され始め、これは戦後までの長い間使われた最もポピュラーなガンカメラだった。
これは他国のガンカメラと同じく、パイロットが機銃の発射ボタンを押すと撮影が開始されるものだった。
欠点としては、「秒間8〜10コマとレートが遅い」こと、「ボタンを押している間のみ撮影されるために、弾の着弾が確認出来ないことが多い」ことなどがあったそうだ。
様々な機体に搭載されたPAU-22だが、写真の中で最も見つけやすいのはポリカルポフ I-16だろう。
I-16での搭載位置はなかなかユニークで、コクピット後部―背もたれの上、ここにガンカメラ装着用の基部と金具が用意されており、実際に装備している機体も見つけることが出来る。
ただ、実戦においては空気抵抗にしかならない為か、この基部及び金具が外されている機体も見受けられる。(一部は基部を外した跡がないものもあり、生産時からオミットされていた機体もあるのかもしれない [独自研究])
他の機体での搭載位置であるが、I-153ではコクピット前方右寄りガル翼付近に装着したらしい。またYak-3・Yak-9Uでは正面風防のすぐ前、右寄りに搭載されていた。Yak-1やYak-7で搭載出来たかは確認出来ていない。
MiG-1およびMiG-3も搭載可能らしいが、位置や使用実績は不明。一方LaGG-3やLa-5で搭載可能と言う情報は見つけられなかった。
装備位置を確認出来た機体は、どれも機体外部に取り付けるようになっており、米軍機などのように機内に収める事は積極的にはしていないようだった。
戦後運用の機体ではあるが、確認出来た中では唯一Yak-9の複座練習機型であるYak-9Vだけは、右主翼内にPAU-22を装備しているようであった。
PAU-22は上記の通り、I-16などからYak-9Uまで広く搭載可能であった。しかしながら、ガンカメラはソ連軍においてあまり広くは用いられていなかったらしい。パイロットのインタビューでも、「ガンカメラは大戦の終わりの方になるまで搭載されていなかった」と解答しているものも多い。
ソ連ではガンカメラは基本的に訓練目的に限って使用されていたそうである。I-16の構造や装備などについて書かれている『ТЕХНИЧЕСКОЕ ОПИСАНИЕ САМОЛЕТА И-16 С МОТОРОМ М-63』(1941)には、「Кроме того, для учебно-тренировочных целей самолет снабжен фото-кинопулеметом (ПАУ-22). (適当訳:また、訓練機用のガンカメラ(PAU-22)を備えている)」と記述されているのが確認出来る。
これらは他国と同様、模擬空戦の撃墜判定の為に用いられたのだろう。たとえ模擬戦であっても、撃墜を判断する事は空中でも地上からでも難しいものである。 (どちらも墜ちない模擬戦だからこそ難しいのだが) これを解決する手段として各国でガンカメラを搭載し、模擬空戦を行った後に地上でフィルムを確認し、模擬戦の相手が写っていれば撃墜判定としていた。
また、ガンカメラを用いるのには、コスト削減の側面もあったという。ここからの文章は参考にしたページの内容そのままなのだが……例えば訓練でShVAK 20mm機関砲を射撃したとする。1936年当時、1発20ルーブルであった事から、射撃訓練のみで戦闘機パイロットの年俸分が吹き飛んでしまう事になる、らしい。 (参考ここまで、当時の年俸等分かれば色々と確かめられそうであるが) ソ連は戦間期に多くのパイロットの養成も行っていたので、節約 (?) も重要となるだろう。
実戦においての使用は他国と比べても少ないようであるが、かといって皆無と言う訳でも無く、ガンカメラでドイツ機を攻撃する場面をおさめたフィルムも残されている。 (1944年にBf109Gを撃墜する様子など) 一応1943年以降、前線にあった様々な機種で搭載され始めたという情報がある。
PAU-22は戦闘機以外にも搭載されている。
戦後ではあるが、前線爆撃機の一つであるTu-2は攻撃戦果確認のため、Series 52から背部後方機銃に、Series 55からはコクピットにPAU-22を搭載するようになったという。
また、Tu-2ベースの双発練習機UTBは、射撃訓練用として後方機銃に同ガンカメラが装備されていた。
戦中も射撃訓練に使用されていたのではないかと思われるが、今のところ確認は出来ておらず現在調査中……。
戦後のガンカメラ
戦後は新たにS-13 (露:С-13) というガンカメラが使用されていたようだ。これはYak-11 (練習機), La-9 (戦闘機) といった戦後のレシプロ機、MiG-9やYak-17等の黎明期ジェット戦闘機で使用され始め、その後もMiG- 21, Su-17, Tu-16の様な航空機でも運用がなされていたそうだ。
Yak-11, La-9, Yak-17といった初期の機体での搭載位置は風防正面の上部で、まるでタンコブのような外観となる。後の機体では外付けでなく機体内に置かれるようになった。
具体的な運用までの情報は得られていないが、PAU-22の様に主に訓練で用いられていたのは間違いないだろう。恐らく実戦での戦果確認にも使われていたと思われる。
おまけ:ガンカメラ以外の航空機搭載カメラ
今回はガンカメラについて記載していったが、ソ連では他にも様々なカメラ機材が用いられていた。昼間撮影用のAFA-IM, AFA-33, AFA-3S、夜間撮影用のNAFA-19などだ。こちらは前線・敵後方の航空偵察や襲撃機や爆撃機の戦果確認等に使われていた。銃座の様に向きが変えられる可動式のものや、胴体内などに備えた固定式のものなど、スタイルも様々だ。
これらは別途記事を書けるほどの情報も無く、書く予定も無いが、こうした機材の情報が日本語でWeb上に見当たらないため、名前の紹介程度に記載しておいた。
ソ連のガンカメラと、ついでに書いた航空機用カメラについては以上。
<参考リスト>
=書籍=
参考無し。
『世界の傑作機 ヤコヴレフ戦闘機』P.86, 95に、PAU-22ガンカメラを搭載したYak-9UとYak-3が掲載されている。
=Web=
◆ПАУ-22(露)
http://www.rus-camera.ru/pau-22_kino.htm
◆I-16のテクニカルマニュアル(露)
http://www.airpages.ru/po/i16_00.shtml
◆Ту-2 Техническое описание (露)
https://airpages.ru/ru/tu2_02.shtml
◆УТБ-2 Airwar.ru (露)
http://www.airwar.ru/enc/other2/utb2.html
◆Яковлев Як-9В | Airwar.ru (露)
http://www.airwar.ru/enc/fww2/yak9v.html
◆Фотопулеметы | ВикиЧтение (露)
https://history.wikireading.ru/31773
◆Фотокинопулемет "С-13" (露)
http://www.photohistory.ru/1545747377700659.html
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